認知症患者に食事を勧めると拒否されることがある。なぜ拒否するのか理由はさまざまだが、コミュニケーションを取り信頼関係を築くことができれば、食事をしてくれる可能性がある。だが認知症を患っているとコミュニケーションがうまく取れないことが多い。そのため認知症患者とコミュニケーションを取る場合には、ちょっとしたポイントを押さえておく必要がある。
まず認知症の患者は決してコミュニケーションができないわけではないという点を理解するのが大切である。言葉でうまくやり取りできなくても、よく観察してみると彼らは顔の表情やちょっとした仕草で何等かのメッセージを発しようとしている場合が珍しくない。出会ってすぐのうちは、そのような些細な仕草を理解するのは困難であるが、介護を続けているうちに、次第に彼らが何を伝えようとしているかが分かってくるはずである。
また食事介助に限らず、認知症患者の介護する場合には、何事もゆっくり、のんびりやることを心掛けるべきである。認知症になると頭で分かっていても身体がついてこなくなってしまう場合があり、そのような人を相手に物事をてきぱきこなそうとすると、かえって介護する側がストレスを抱え込んでしまいがちである。そういった状況に陥らないためには、普段から少しのんびり構えて介護を行うようにするとよいのである。介護メニューを詰め込んでしまうとどうしても段取り良くプロセスを進めたくなりがちであるため、メニューもなるべく減らしてみるとよいだろう。