認知症と食事介助

介護関係の仕事において、食事介助は重要な作業である。安全で円滑な食事を手助けできなければ、高齢者は気力と体力が削がれる。通常であれば難なく食事は終了するが、認知症の方はそうではない。あらゆることに対して正常な判別ができないので、食事をする意味さえも理解していない場合がある。一番多い問題としては、食事拒否だ。もちろん食事を拒否したからと言って、満腹という訳でもない。認知症の方にとっては、得体の知れない物体が口元に運ばれているという感じである。誤解を与えないように注意して、食事は生きる為に大切なのだと伝える必要がある。言葉で伝わらなければ食べる動作などをして、根気強く対応しなければならない。またそれ以外にも食事を嫌がるケースは複数あるため、一般的な食事拒否の種類を把握し、それに合わせて適切な対応をすることが大切だ。

食事拒否がなくなっても、今度は食べ方に苦しむ場合がある。外国人が初めて箸を持った時のような使い方だったり、汁物をどのように飲むか理解できないなど様々な問題が発生する。昨日教えてもまた今日には忘れてしまうことも多いので、その都度説明する必要がある。どうにか食べ始めたとしても、ストレスの溜まる環境であれば食事も中々進まない。食事をする体勢が良くなかったり、部屋の温度が不適切であれば食事に集中できない。そして、高齢者ということで体調が優れない日も多々ある。そんな時は当然、食事介助をしても食事が進まない。認知症患者は体の不調を上手く説明できない場合が多いので、顔色や体調を注視しなければならない。